新築から年数も経てば、住まいのさまざまな場所に経年劣化は見られます。その中でも、今回注目するのは外壁に現れる「ひび割れ」です。気付きやすい傷みのサインではありますが、住まいをよく見る機会がないと「いつの間に…！」といった症状が出ていることも。外壁の種類とひび割れの症状を写真とレベル別でお話しします。

コーキングと建材で傷み方はちがう⁉

住まいは経年劣化により、築10年目を境にさまざまな症状が目に見えるようになります。その中でも「ひび割れ」は傷みが進んでいるサインとして見受けられます。例えば、見た目ではあまり傷みを見つけられなかったとしても、ヘアークラックと呼ばれる髪の毛くらいの細いひび割れは複数あることもしばしば。今回は、ひび割れの症状を“コーキング部分”と“外壁材自体”の症状をもとに見ていきます。

■傷みレベル１　★☆☆（軽度）

これは、築10年の住まいの外壁です。サイディング外壁を採用されており、板と板の間にはコーキングと呼ばれるゴム状のものが埋められています。このコーキングは、一番早く傷みのサインを出してくれます。中央のコーキング部分を見てみると少しシワができており、ひび割れが始まっているのが分かりますか？コーキングが経年劣化で硬化し、ひび割れの初期症状が現れているのです。

上の写真は、基礎の上にある外壁です。グレーの水切りの上あたりに縦にひび割れが発生しているのが分かりますか？これがヘアークラックと呼ばれる髪の毛ほど細いひび割れです。この写真は近くに寄っているのでひび割れに気付きますが、通常さっと見ているだけでは分かりづらい症状。これらの傷みがあると、「もうそろそろ、外壁塗装を検討し始めましょう」という状態。早めの発見、工事で塗装の仕上がりやかかる費用を抑えることができます。

■傷みレベル２　★★☆（中度）

つづいては、築15年頃の住まいのコーキング部分の写真です。硬化が進み無数にひび割れの症状が出ています。このまま放置するとじきにコーキングが裂けてしまい、外壁の内部が露出することで耐久性の低下や雨漏りの原因に繋がります。

上の写真は、モルタル外壁に発生したひび割れの写真です。建材自体のひび割れは、ヘアークラックを放置しておくとこのように、約0.01mm程度の幅へと進行します。0.01ｍｍと言っても、目視でひび割れている箇所が分かってしまいます。雨が降れば水の通り道となりますし、この状態の外壁はもう水を弾くことができていません。「もう塗装をしてほしいよ！」という外壁からのSOSが出ていますので、早急に対応が必要です。

■傷みレベル３　★★★（重度）

これは、築18年の住まいのコーキング部分の写真です。ベランダで日当たり・雨当たりも強く、傷みやすい箇所です。この状態は、コーキングがひび割れして取れてしまっている部分もあります。青く見える薄い紙は新築時にコーキングを注入した際、奥の金属にくっつかないように挟まれているもので大抵の住まいでは青い色をしています。この状態では、サイディング外壁の断面が剥き出し状態の為、雨が降ると直に水が浸透してしまいます。

そして、建材自体のひび割れが進行するとこのように、大きく広範囲に広がっていきます。この住まいは大手ハウスメーカーです。年数が経過するとどの住まいにも傷みはつきもの。これだけ大きなひび割れですが、住まわれている方は一緒に点検するまで気付かなかったそう。このまま放置すると、ひび割れしている部分から水が建材に浸透し、外壁材を弱らせてしまいます。

このように、ひび割れは段階を踏んで進行していきますが、意外と気付かずに過ごしてしまうこともあります。築10年目にはご家族で住まいをぐるっと一周点検してみましょう。また、プロの目を借りることは重要です。築年数と立地で、どのあたりに症状が出ているか沢山の経験と知識を持っているので、点検を依頼することをおススメします。